競馬コラム

パドックを予想で最も重視している理由

2016/11/18

能力、適性、時計、馬場、展開、血統、騎手。競馬には数多くの予想ファクターがあります。馬券で勝つためにはこれら全てをバランスよく活用する必要がありますが、これらの中でどの予想ファクターを最も重視するのかは、競馬ファンそれぞれで違うでしょう。

私にとって、それはパドックです。

そう言うと、「え?パドック?」といったような顔する競馬ファンも多々います。彼らは、パドックを見て馬の良し悪しが分かるのを、都市伝説のように思っている節があるようです。

そういう認識なのも仕方ないのかもしれません。

「パドックで馬が走るかどうかの見分けなんてつかない」と公言している騎手や調教師もいますし、武豊騎手でさえ、以前何かのテレビ番組でそう言っていた記憶があります。

それが本心かどうかは知る由がありませんが、彼らがそう発言すれば、「馬のプロがそう言っているんだから素人が見ても分かる訳ない」と多くの競馬ファンが納得するには充分すぎる説得力となるからです。

勿論、パドックで馬の良し悪しを見極められるのは都市伝説ではありません。そして、活用することが出来れば、他のどんな予想ファクターよりパドック予想は有益なものになります。

今日は、その理由についてお話したいと思います。

パドック予想だけが持つ最高の武器

唐突ですが、パドック以外の予想ファクターは、実はそのほとんど全てにある重大な欠点があるのをご存知でしょうか?

そう、それらは全て、過去の情報を元に予想しているということです。

例えば出走各馬の能力や適性について分析するとき、直近数レースのパフォーマンスを参考にすると思います。勿論私もそうですし、馬券で勝つために、その作業は絶対に欠かせません。

ですが、その作業を以って各馬の能力や適性の分析を完了とするのか、それとも、最終判断のための材料程度に留めるのか、この間には大きな差があります。

過去にその馬が見せた能力や適性は、例えそれが僅か数週間前だとしても、あくまで過去のものに過ぎません。

レースを走るのは、過去でなく現在。
競走馬は、数週間もあれば能力や調子が大きく変化する場合もあります。過去の情報だけを元を予想にしていたのでは、その間に起こった変化を、予想に反映することが出来ないのです。

分かりやすい例として、天皇賞秋2013前後のジャスタウェイが挙げられます。

直近2走が、関屋記念2着・毎日王冠2着だったジャスタウェイ。それまでG1タイトルもなかったこの馬が、史上最強牝馬候補のジェンティルドンナ相手にあのパフォーマンスが出来ると、過去のパフォーマンスだけを元に誰が予測できたでしょうか?

パドックを予想に取り入れている競馬ファンなら、その可能性がありました。

「これまでのジャスタウェイと馬が違う。これまでにないパフォーマンスをする可能性がある」と予測することも可能だったからです。

レース直前の各馬の調子、最新の能力や適性も加え、より高精度な予想を馬券に反映することが出来るのはパドック予想が唯一でしょう。

パドック予想が馬券で儲けやすい理由

予想ファクターとしてパドックが優れている理由がはこれで少しは伝わったのではないかと思いますが、加えてパドックは、馬券の儲けやすさでも他の予想ファクターを上回っている点のも魅力的です。

特定の条件で好走率・回収率が高い新種牡馬、他より抜群に上手い新人騎手など、一部の人だけが活用している予想ファクターは他にも沢山あると思います。

ですが、それらは大抵、旬が短い。
特に血統や騎手などは、競馬専門家はもちろん多くの競馬ファンも注目しますから、好走率や回収率が高いと分かれば、瞬く間に競馬ファンの間に広がってしまいます。

好走率の高さは、多くの人に知れ渡ったからと言って下がるものではありません。
昔で言えば、誰もが武豊騎手の好走率の高さを知っていましたが、そんな中、高い好走率を残し続けました。

しかし、回収率はそうもいきません。

馬券のオッズは、全投票数のうち、その馬券への投票割合がどの程度なのかで決まります。簡単に言えば、買う人が少なければオッズは高いですが、買う人が増えれば増えるほどオッズは下がってしまいます。いくら武豊騎手の好走率が高かったからと言って、それだけを買って馬券で勝つのは非常に難しかったでしょう。

馬券で勝つには、好走率が高くてオッズも高い馬をいかに買えるかがポイントになります。そして、パドック予想はそれをも可能にするのです。

先に挙げたよう、競馬ファンのほとんどは、予想においてパドックを重視していません。ですから、好走率が高そうな姿をパドックで披露していても、その馬のオッズが大きく下がることがないのです。

先のジャスタウェイで言えば、先の天皇賞秋2013、そしてドバイデューティーフリー2014圧勝で多くの競馬ファンにも本格化したことが認識されました。仮に天皇賞秋2014にジャスタウェイが出走していたとしたら、単勝オッズは恐らく2倍台後半だったでしょう。

しかし、天皇賞秋2013では15.5倍の単勝オッズ。好走確率がほぼ同じだった両レースで、オッズにこれだけの開きが生まれるのです。こういう馬券だけを買い続ければ儲かりそうだというのが、なんとなく理解出来るのではないでしょうか。

パドック予想は今後も儲かり続ける

「好走率や回収率が高いと分かれば、その方法は瞬く間に競馬ファンの間に広がり、該当馬のオッズが下がってしまう」というのは先の通りです。

「パドックを見れば期待値の高い馬券が買える」というのが広まれば、パドックでも同じ現象が起こるように一見思えます。

ですが、今のところパドックでは、その心配がないと思っています。パドックを見ても、ほとんどの競馬ファンは何も分からないからです。

先の例で挙げた「特定の条件で好走率・回収率が高い新種牡馬、他より抜群に上手い新人騎手など」であれば、馬柱を持っている競馬ファンなら誰でも買えてしまいます。馬柱であれば、競馬歴の浅い人でも、大抵はある程度読むことが出来るからです。

ただ、パドックに関しては、競馬歴10年でも毛色の違いくらいしか見分けが付かない人も多々います。プラス16キロで出走する馬がいれば、それが実はプラス材料だとしても、先入観だけで太いと判断してしまう人も山ほどいます。

プロなら分かる芸術品の価値も、素人では全く分からないのと同じ。誰でも違いが分かる訳ではないので、参入障壁が非常に高いのです。

「筋肉のハリが良い馬を買え」「バランスの良い馬を買え」と言われても、言う人・見る人の主観で判断するしかなく、その間には必ずブレが生じますから、他人に教えることも教わることも難しいのです。

ちなみに、私自身、パドックから何かを読み取るようになれたのはただの偶然です。毎週土日何年も、朝の1レースから最終レースまでパドックも見続けていたら、ある日突然インスピレーションが働くようになった具合です。

ですから、それと同じことをやれば、誰でもそのインスピレーションを手に入れることが出来るようになるのかもしれません。

ですが、元々「パドックで馬のことが分かるなんていうのは都市伝説」と思っていた人で、効果があるかどうか分からない作業を根気よく何年も続けられる人はほとんどいないでしょう。

それ故に、パドック予想はこれからもしばらく、期待値高い馬券を買うのに有効な予想法となるだろうと予測出来るのです。

パドック予想は万能ではない。しかし―。

もちろん、パドック予想は万能な訳ではありません。

枠や展開、馬場やスタートの出遅れ、騎手の乗り方次第で簡単に着順は変わりますし、パドックで馬の能力や適性・調子の見分けがつくようになったからと言って、全レースで的中させるのはとても不可能です。的中率を今の3倍にするのだって、難しいでしょう。

ただ、それが出来なければ馬券で勝てない訳ではありません。どのレースでどんな馬券を買うのか、それを自由に選べる競馬では、その、僅かな差が活きる場面でのみ勝負すれば良いからです。

好走確率が高いのに単勝オッズ15.5倍もつく天皇賞秋2013のジャスタウェイのような馬券だけ買い続けることを想像してみれば、馬券で勝つのが不可能でないことをイメージ出来るのではないでしょうか。

終わりに

「パドックで馬のことが分かるなんていうのは都市伝説」と思っている人が多いが故に、この記事をここまで読み進めた人はほとんどいないと思います。仮に読んでいたとしても、私が言っていることなんてデタラメだと思っている人がほとんどだと思います。

ただ、その中から1人だけでもこの記事を読んで少しでもパドックに興味を持ち、パドックを予想ファクターに取り入れたことで馬券で儲かるようになったら、今日、この記事を書いた甲斐もあったというものです。いつかそういう日が訪れたらなと思います。

最後になりますが、私は毎週日曜、特別レースのパドック評価を会員様にお伝えしています。会員募集は毎開催の1週目に行っていますので、是非こちらからご参加いただければと思います。

短期間では分かりづらいかもしれませんが、長期間参加いただければ、今日ここでお伝えしたことを、より確かな実感としてご理解いただけるのではと思います。

お金以上に大切な時間を有効活用するという意味では、パドックが本当に予想に役に立つかどうか判断してからパドックを見る習慣をつけることで、時間の浪費も避けられるでしょう。

多くの人に白い眼を向けられてきたパドックに関する話をここまで読み続けてくれた貴重な方のお役に、少しでも立つことが出来れば幸いです。

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